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袴乙女の書庫


ルビリィちゃんとの出会い…(非公式記録・2)

それは、ある夏の日のこと…。
(9/25加筆修正しました)




「あら? これ、どなたのでしょう…?」
旅団「peace」の事務室。テーブルの上に置かれた包みを
見て、マユリは首をかしげた。

「ああ、それならアズレイさんのですよ…今日持って帰るって
言ってたのに、忘れたんでしょうかね?」
「それでしたら、私が届けます。アズレイさんのお家、帰り道ですし…」

「えっと、確かここだったような…」
アズレイの忘れ物を抱えたマユリが、
下宿屋を訪れる。
ドアの前に立ち、ノックしようとして──
ふと話声が耳に入る。
(先客…かしら? ”お兄ちゃん”…?)

立ち聞きするのも失礼だと思い…
踵を返そうとしたマユリの背後から、
怒鳴り声が響いてきて…思わず立ち止まる。
(今の…アズレイさん? 普段は声を荒げたりする方じゃないのに…)

少し離れた場所で見ていると…やがてドアが開き、
一人の…金髪の少女が出てきた。ストライダー特有の、
犬の尾が弱々しく垂れ下がっている。
少女が立ち去るのを見送りながら、マユリは何故か
胸騒ぎがしてならなかった。
「今の子…泣いてた…」

少し間を空けて忘れ物を届けた時、アズレイは何事もなかったように
マユリを迎えてくれた。
それでも、マユリはその夜…あの少女と、アズレイの何時にない
怒声を思い出し…寝付けないでいた。


それから数日後…
(お節介かも知れない…私で、何か力になれることがあったら…)
どうしてもそのままにはしておけず、マユリはもう一度
アズレイの元を訪ねることにした。
…焼きたてのクッキーを持って。
「あ…」
そこで件の少女がまた、アズレイの下宿に入って行く
場面に遭遇する。
「……」

どうやら、少女はアズレイの…生き別れの妹、らしい。
(どうしよう…私なんかが、口を挟める事情じゃない…)
立ち聞きは良くないことだと知りつつ、だからと言ってその場に入っていけない
自分に自己嫌悪しながら──マユリは耳にした兄妹の
歩んできた道に、胸の奥をむしりとられるような思いだった。

経緯は違えど、壊滅した故郷の村。
むなしく失われた家族の、友人達の生命。
自分だけが生き残ってしまったという、負い目。
そして、運命を分けた「きょうだい」──

あの娘は、私と同じ…

ややあって、ドアから少女が出てくる。
今度は、涙の後は見えない。
立ち尽くしているマユリを一瞬、不思議そうに見ると…
そのまま、玄関から外へ出て行った。
「…マユリさん?」
声をかけられて我に返ると、ドアの向こうに
アズレイが驚いた表情で立っていた。
「! …あ、あの、ごめんなさいっ!」
真っ赤になって立ち聞きしてしまった非礼を詫び、
マユリはしどろもどろに、持参したクッキーを
差し出していた…。

それからまた何週間か後。今度は冒険者の酒場の前で…
マユリは三度、金髪のストライダー少女──
ルビリィと再会することになる。
「あ…あの時の?」
「こんにちは…この前はごめんなさい」
不思議と、ぎこちなさは感じられなかった。
お互い挨拶を済ませ、それから「立ち話も何なので」と
連れ立って酒場に入って行く。

それが…「姉妹」の出会い。
by punipunipoyon | 2007-09-25 03:33 | マユリ(a38566)

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